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2021-10-25 注目動産

この動産に注目! ― 建築内装材 ―

 気温が徐々に下がり、長袖一枚だけではなかなか外に出られない時期になっている。新型コロナウイルスの新規感染者数の推移は少ない水準で落ち着いている一方で、インフルエンザの流行シーズンに入ったことから、昨年は流行しなかったため、集団免疫が形成されず、今年はインフルエンザが爆発的に大流行するではないかと懸念する声が出てきている。こうした懸念が高まる中、またもやワクチンの接種が推奨されているが、1年の中に何度も注射針に刺されるのが、いったいいつ頃以来ことなのか、思わず過去の記憶をたどってみたくなる筆者である。

 日本では、原因不明ながらも新型コロナウイルスによる感染が減り、海外でも欧米を中心にワクチン接種率の向上に伴って入国規制を緩和する動きが進んでおり、世界全体では人・物の流れの回復への期待が徐々に高まってきている。とはいうものの、コロナ禍がまだまだ収束しておらず、流通や生産など世界経済の様々なところで深い爪痕が残り、混乱が収まる気配がまだ見られない。日本経済新聞が発表している日経商品指数17種(1970年平均=100)は、10月15日に200.83ポイントを付け、41年ぶりの高値を更新し、需給や物流の混乱で原油、非鉄金属などの素材価格の大幅上昇を物語っている。

 今回のテーマである建築内装材もこうした素材価格の上昇から影響を受けている。この頃、代表的な内装材である石膏ボードや建築用ガラス、壁紙、床材などの大手メーカーによる値上げの動きが相次いでおり、平均で10%前後の値上げが行われている。石膏ボードなどの一部製品について、約30%の値上げが行われることもある。世界全体の経済回復に伴う需要の増加がある一方で、コロナ禍に伴う港湾荷役の混乱に加え、海上運賃やトラック運賃等の高騰が原材料価格を押し上げ、企業努力だけではコストを吸収できない状況が背景にあるようだ。一般財団法人建設物価調査会が発表している建設資材物価指数によると、2021年9月時点の指数(建設総合、2011年=100)は119.9ポイントと、前年同月比約11%上昇した。世界的な素材価格の上昇による影響が広がる中、当面は建築材料業界でも、原材料高を製品価格に転嫁する動きが続きそうだ。

 ところで、新型コロナウイルスの感染者数の減少に伴ってコロナへの警戒が和らぎ、外を出歩くと、マスクをつけない人もちらほら見られるようになっている。新型コロナウイルスをインフルエンザと同じように扱える日は来るのか、第6波の感染拡大にも警戒しつつ、首を長くして待ちづづけるしかなさそうだ。
(孫記)

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