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2021-10-04 注目動産

この動産に注目! ― フェロシリコン ―

 9月に入ってから台風が相次いで日本に接近し、すっきりしない天気も多い中、さわやかな秋を楽しめる機会はあまりなかった。その影響もあったのか、新型コロナウイルスの感染者数が急速に減少しており、東京なら最近は200~300人前後で推移している。8月にピークを迎えた感染拡大の第5波で一時期どうなるやらと膨らむ不安も嘘のように消えてしまった。感染者数の減少とワクチンの接種率の向上で、人々の外出への抵抗感もますます薄らぐと思われ、それに乗じて「ウイルス」が新たな戦略を打ち出すのか、油断も出来なさそうだ。

 油断できない状況と言えば、この頃、中国発で世界経済に不安を与える出来事は相次いでいる。最近では、中国国内における石炭の供給不足や排出規制の厳格化、製造業などからの強い需要を背景に電力不足の問題が顕在化しており、多くの地域では電力使用量の抑制措置が取られ、止む無く稼働を止める工場も多く出ていると伝えられている。これによって中国の実体経済が影響を受けるだけでなく、世界経済全体への波及も懸念される。約1週間前に世界の株式市場では、中国の不動産大手である中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念を受けて株価が急落する場面もあっただけに、この電力不足問題はより広範囲に世界経済に影響を与える可能性も出ている。

 今回のテーマであるフェロシリコンに関しては、まさに中国の電力不足で直撃を受けている。フェロシリコンは製鉄の際に脱酸素材として使われる合金鉄であり、日本国内で使用されるフェロシリコンは輸入に頼っており、主に中国やマレーシアなどから輸入されている。中国の主要産地では環境対策の一環として電力消費が厳しく制限され、多くの電力を必要とするフェロシリコンの生産が大きく落ち込んでいるため、日本向けの輸出も減少している。財務省の貿易統計をみると、6月時点のフェロシリコンの単純輸入単価(輸入金額÷輸入数量)は1トンあたり約16万3,000円と、年初から約2割程度上昇している。日本国内の鋼材生産が堅調に推移している中、フェロシリコン価格の上昇で鋼材価格が押し上げれる可能性も高まっている。

 ところで、新型コロナウイルスの感染者の減少で、10月から緊急事態宣言がようやく解除される。しかし、一般的なコロナウイルスは太陽光と高温、多湿に弱いため、冬に感染が増加し、夏には勢いを失う傾向があると言われるが、今回の新型コロナウイルスは夏の真っ只中で大暴れし、いよいよ気温が下がるとなったら逆に勢いを失っている。ワクチンの接種が進んだとはいえ、まだ集団免疫を獲得できる水準ではないとされる中、何とも不思議である。専門家の中でウイルスの「自壊」が始まっているとの予想もあるようだが、その予想は現実になってほしいと切に思う。

(孫記)

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