お知らせ&コラム

2018-04-10 注目動産

この動産に注目! ― 大豆 ―

 年度が変わり、花見のシーズンも終わってしまい、東京のソメイヨシノはすっかり葉桜になっている。今年の桜の開花は例年より約10日も早くなったせいか、満開の花に先を越された感じで、追いかけて花見に行っても結局はせかせかしてゆっくり花を楽しめた気がしない。すでに桜の木からピンク色も消え、代わりに葉っぱの色が一気に深まり、街中は春本番の到来を実感させる色合いとなっている。

 ところで、東京でまさに桜が満開したごろ、米国のトランプ大統領が知的財産権の侵害などを理由に中国からの輸入品に対して500億~600億ドル規模の追加関税を徴収する方針を明らかにした。これに対抗して中国も報復策を公表し、両国間の貿易摩擦が過熱している。2017年の米中間の貿易では、中国が米国に対する輸出が約5,000億ドルに上る一方、輸入は1,300億ドル程度にとどまっている。これは両国が互いに制裁を課す場合、米国が打ち出せる弾の数は中国の数倍に上る計算になる。果たして中国が降り注ぐ弾雨の中で一歩も引かずに済むことなのか、注目される。

 一方、今回のテーマである大豆については、今回の米中間の貿易摩擦において注目される品目の1つとなっている。米国による大豆輸出のうち、約6割りが中国向けとなっており、中国の輸入関税の引き上げを受けてその需要が大幅に減少し、価格が下落する可能性も予想される。また、中国としては米国産大豆の代替として世界最大の大豆輸出国であるブラジルなどから調達する必要もあり、米国以外の大豆輸出国が生産する大豆の価格は逆に上昇すると見込まれている。日本については、国内における大豆の自給率は約7%にとどまり、需要のほとんどが輸入品で賄われているだけに、主な輸入先である米国やブラジルなど動向によっては一定の影響を受ける可能性も否定できない。

 貿易をめぐる米中間の応酬が続く中、トランプ大統領は次の一手としてさらに約1,000億ドル相当の追加課税品目について検討するようと、米通商
代表部に指示したことも伝えられている。弾丸はいよいよ砲弾になることから、中国はどのような秘密武器をもって挑むのか…戦いはますますと激しくなりそうだ。

(孫記)

一覧に戻る