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2018-03-20 Fintech

維新

2018年は明治維新150年の年です。今から150年前に、薩摩や長州が幕府を倒すというイノベーションが起こったわけですが、翻ってみれば、”たった”150年前の世の中は、国は閉ざされ、一族が世を牛耳り、ちょんまげを結った侍が街を歩いていたのかと思うと、信じられません。

イノベーションと言えば、クレジットカード業界と加盟店に対する規制を強化する「改正割賦販売法」の施行が6月1日に迫ってきています。
本法律は、POSシステムを運用する流通・サービス業にシステム投資を迫るものであり、具体的には、ICクレジットカードへの対応を義務付けます。

これまで、国内におけるクレジットカード取引は、磁気ストライプ決済が主流になっていました。磁気クレジットカードは、裏面の黒い帯にデータを格納できるようになっており、専用の機械に通すと情報を読み取ることができるものですが、磁気に記録した情報のスキミングや偽造カードの作成などが比較的容易であり、不正使用の被害が後を絶たちません。そこでICカードが登場しました。ICカードは、データの記録や演算をするためのICチップをカード内に組み込んでおり、データを暗号化して保存するため、情報漏洩や偽造リスクが極めて少ないという特徴を有しています。今回施行される「改正割賦販売法」は、規制強化を図ることでクレジットカードの不正使用被害を抑止するものであり、所管する経済産業省は、現在70%ほどのIC対応端末の普及率を2020年までに100%まで引き上げる方針のようです。

ところで、昨年の秋ごろからコンビニエンスストアのPOSレジが、どんどんと新しくなっていることに気づき、不思議に感じている人も多いのではないでしょうか?「改正割賦販売法」の施行もその理由と言われています。コンビニにとってみると、「POSシステムをIC対応しても大きな売上効果が見込めない」との理由から、なかなか対応が進んできませんでしたが、ここへきてその準備を始めない訳には行かなくなってきたようです。

数年もすれば、磁気ストライプ決済は、おそらくこの世から消えていることでしょう。それどころか、お金そのものが、電子マネーや仮想通貨に姿を変えはじめている今、数年後の世の中に硬貨や紙幣は存在しないかもしれません。Fintechによる「維新」の世が目前なのかもしれませんね。

(田中記)

 

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