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2018-02-13 注目動産

この動産に注目! ― 製紙用パルプ ―

 カレンダーの表示はあっという間に2月に変わったが、寒い日は相変わらず続いている。ただ、節季上はすでに立春が過ぎ、気温が底を打って反転する時期も遠くないはずである。すでにところどころで梅の花が咲き始めており、季節の変わり目は確実に近づいている。筆者の家には、観葉植物のパキラを置いてあるが、この冬の寒さのせいか、すっかりと元気をなくし、残っているわずかな葉っぱを目にすると、どうしても寂寥感を抑えきれないことが最近の悩みである。気温が上がってくれれば、パキラも生き返ってくれないか、筆者は微かな希望をもって日々温度計の目盛りをチェックしている。

 ところで、最近は天気が寒いだけでなく、株式市場も厳しい「寒さ」を体験させる状況となっている。米国の株式市場の下落をきっかけに世界の株式市場は同時安となり、日経平均にしては2月6日に一時1,600円を超える大幅な下落をみせる場面もあった。その勢いはビットコインの急降下に及ばないものの、過去最大の下落幅で変わりがない。ジェットコースター好きな人ちにとってその動きは魅力的なコースになるかもしれないが、高値更新をしつづけてきた株価に大きな誘惑を感じた筆者には冷汗が凍る気持ちであった。

 一方、今回のテーマである製紙用パルプは、株式市場とは逆の展開になっている。製紙用パルプは主に木材チップを原料に製造される植物繊維であり、国内の製紙業界では国産品のほか、米国やカナダ、ブラジル、インドネシアなどからの輸入品も多く使用され、その割合は国内需要の70~80%に上ると言われている。昨年末から日本に輸入されるパルプの価格(針葉樹さらしクラフトパルプ、運賃込み)は急上昇しており、一部メディアによれば昨年末には1トンあたり950ドルと、昨年初めから約4割上昇したという。主な輸出国であるブラジルやインドネシアではメーカーの減産による影響があったほか、中国では環境規制の関係で古紙の代わりにパルプ需要が増加していることも要因とされる。パルプ価格の上昇を受け、紙製品の値上げ圧力も強まるとみられ、今後の動向が注目される。

 このごろはパルプをはじめさまざまな素材価格や食品価格が上昇しているほか、企業業績の拡大に対する期待から株価も大きく上がってきた。ここにきて惜しくも株価は一気にがけ崩れになったが、残り素材価格や食品価格はまだまだ堅調に推移しつづけそうだ。とはいえ、国会ではすでにエンゲル係数に関する論争が行われ、その後はエンゲル係数に関するウィキペディアの説明が書き換えられたこともちょっとした話題になっていた。果たしてアベノミクスに支えられた経済成長が本物なのか、それともエンゲル係数の上昇で示される人々の生活水準の低下が事実なのか、株価の激しい動きを追いながら、早く結論が明らかになってほしいところである。

(孫記)

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