お知らせ&コラム

2018-01-10 注目動産

この動産に注目! ― アルミ二次合金 ―

 年が明けてから早くも1週間が経ち、戌年はいよいよ本格的に動き出そうとしている。筆者は正月の連休中、例年と同じ、ひたすら「食べる」と「太る」の選択に悩まされ、2択の狭間の中でバランスを取ることに奮闘してきた。幸いなことに新年の仕事初日にあたり、ズボンの腰回りには大きな違和感を感じることもなく、余計な心配事が増えないで無難に新年のスタートが切れたことにひとまず安心である。

 ところで、今年の株式市場の大発会では、日経平均株価が昨年末から大幅に反発して2万3000円台を上回る展開となった。これは、大発会として1992年以来26年ぶりの水準であり、世の中はとりあえず景気のよいスタートを切ったようだ。株価の上昇は、景気の回復で懐が潤った個人による買いなのか、それとも異次元の金融緩和を背景とする機関投資家の投資増なのか、筆者には判断がつかない。しかし、世の中でじゃぶじゃぶになっているお金の流れから飛び散る「飛沫」が、少しでも筆者が一生懸命に広げている財布の中に飛んできたら、それこそ今年はよい年になることであろう。

 元気な株式市場と同様、今回のテーマであるアルミ二次合金も上昇する展開となっている。アルミ二次合金はアルミ新地金やアルミスクラップなどにさまざまな添加成分が加えられて製造され、主に自動車や家電部品、アルミサッシ、アルミ缶、鉄道車両部材などの製造に使われている。そのため、アルミ二次合金の価格は主な原料であるアルミスクラップやアルミ地金の価格推移に大きく影響される。

 アルミ地金についてはこのごろ、最大生産国である中国が環境対策の一環として冬場のアルミ生産を抑制したため、国際価格が上昇傾向となっており、日本国内においてもこうした影響を受け、アルミスクラップの価格が上がっている。一方、アルミ二次合金の需要は堅調な国内自動車生産にけん引され増加しており、アルミ地金やアルミスクラップ価格の上昇と重なってアルミ二次合金の価格も押し上げられている。日本経済新聞によれば、2017年12月末時点のアルミ二次合金(代表的な品種である「AD12.1」)の価格(東京・商社出値、高安値の平均)は1トンあたり約373千円となっており、前年同月比1割以上上昇している。足元では自動車などの関連需要が引き続き好調に推移するとの予想もある中、アルミ二次合金の価格も当面は上昇するとみられている。

 最近では、アルミ二次合金だけでなく、さまざまな素材の価格が上がっている。また、天候不順による不作や不漁などの影響で野菜や魚介類などの食料品の価格も上がり基調となっており、もしかして日銀が掲げている物価目標の達成もそう遠くないかもしれない。しかし、デフレ脱却による恩恵はいつになったら庶民に及ぶのか、首を長くして待ちたい気持でも、すでに肩こりで待ち疲れの気分でいっぱいである。

(孫記)

一覧に戻る