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2017-07-20 Fintech

モバイル決済の利用動向

FinTechに関する動きをウォッチしている中で、昨今は携帯電話やスマートフォンを用いる「モバイル決済」の動きが目立つように感じられます。「モバイル決済」をサービスとする新たなベンチャー企業も次々と誕生しています。

そもそも「モバイル決済」とは何か?一般的には、携帯電話やスマートフォンを使って、クレジットカード決済をする仕組みのことを指し、大きく分けて2つの方式があります。1つ目は、お店がスマホやタブレットに専用のカードリーダーを取り付けてクレジットカードの決済処理を行うもの。
Squareや、コイニー、楽天ペイなどが代表格です。

これまで、クレジットカード決済機能を自店に導入しようとした場合は高額投資が必要でしたが、「モバイル決済」であれば低コストで導入でき、また通常のクレジットカードの加盟店手数料よりも低い手数料を設定しているところが多いため、小規模店舗で導入が進んでいるようです。
 
2つ目は、消費者が自分の携帯電話やスマホをかざしたり、コードを読み込んだりして支払いを行うサービスであり、Apple Pay、Android Pay、中国のAlipayやWechat Payなどがあります。
特に、東京オリンピックを控え、訪日外国人観光客を一人でも多く呼び込みたい我が国においては、中国で広く普及するAlipayやWeChat Payなどのインフラ整備が各方面で熱望されているようです。

そんな中、去る6月20日に、日銀から「モバイル決済の現状と課題」というレポートが発表されました。(http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/data/psrb170620a.pdf

本レポートでは、日銀が2016年11~12月にかけて実施した第68回「生活意識に関するアンケート調査」の結果に基づいた、モバイル決済の利用状況が報告されています。
なお、ここでいう「モバイル決済」は、消費者が自分の携帯電話やスマホをかざしたり、コードを読み込んだりして支払いを行う、2つ目のサービスを指しています。

我が国では、2004年に電子マネーの技術を携帯端末に搭載する形の「おサイフケータイ」が発表され、店頭でのモバイル決済サービスが開始されています。それから10数年が経過しているものの、本調査では「利用している」と答えた日本人は全体の6%にとどまっており、「機能はあるが利用していない」と答えた人も全体の42%存在すると報告しています。その理由としては、約半数が「セキュリティ・紛失時などの安全性に対する不安」と答えており、続いて「現金やクレジットカードの方が便利」というものでした。

つまり、日本のモバイル決済利用は、Fintech界を賑わしている割には、現時点においては必ずしも浸透しておらず、まだまだ黎明期にあると言えます。今後の拡がりを展望する上では、①人々のセキュリティ面での不安感などを払拭できるかどうか、②モバイル決済の便利さやスマートさを演出できるかどうかが鍵であるようです。

ちなみに「モバイル決済」が既に広く普及する中国では、現金を持ち歩く人が少なくなっているため、物乞いの人々が途方に暮れているそうです。そこで最近は、首にモバイル決済のできるQRコードのついたプレートを掛けている物乞いが増えているとか・・・いずこもキャッシュレスの時代のようです。

(田中記)

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